活動報告・お知らせ

第1582回 日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜デモ 週間報告声明書(主管:韓国性暴力相談所)

週間報告

ベトナム戦争当時の韓国軍による民間人虐殺被害を韓国政府が賠償すべきとする裁判1審判決が2月7日に下った。ソウル中央地方裁判所民事68単独の朴チンス部長判事は、韓国軍の虐殺行為が「明白な犯罪」だと指摘し、2020年4月21日ベトナム人のグェン ティ タンさんが韓国政府を相手に訴えた国家賠償請求を受入れ、韓国政府は3千万100ウォンを賠償せよと宣告した。

裁判所は幾つかの証言と証拠をもとにして原告の主張を大部分事実と認定し、戦争犯罪の責任を明確にして被害者の権利救済と名誉回復の道を開いた。大韓民国人権史の里程標となる今回の判決を契機に、ベトナム戦争当時の民間人虐殺の真相が徹底的に究明され、政府レベルの責任認定と公式謝罪、法的賠償が行われるよう望む。

正義記憶連帯は紛争下の人権侵害問題に持続的関心を持って全世界の被害者たちと連帯してきた。

挺対協初代共同代表の尹貞玉(ユン・ジョンオク)先生は引退後に春川で暮らし、2006年「韓国-ベトナム市民連帯」を創ってベトナム戦争被害者とその子女たちの支援を始めた。相互尊重を通じて他者との真の共存を願っていた尹貞玉先生は、「私たちが日本に要求することをベトナム人にしなければいけません。謝罪し賠償しなければなりません」と強調し、自ら実践を始めた。

このような精神を受け継いで2013年から挺対協は、ナビ基金を通じてベトナム戦争当時の韓国軍による性暴力被害者とその子供たちを支援し始めました。「戦争被害者たちの希望になり、戦争犯罪加害者たち、性暴力犯罪者たちと国家に厳重な警告をし、類似犯罪が再発させない」という被害者たちが夢見た真の平和を実現するため、ベトナム戦争被害者支援と問題解決のための行動を社会化した。

金福童(キム・ボクトン)ハルモニは、「私たちのためにベトナム女性たちが被害を受けたから、韓国国民として済まなく、とても申し訳ない」と謝罪して、ナビ基金を通じて熱心に支援すると約束された。これに応えるかのように今回の訴訟の原告人のグェン ティ タンさんは2015年の韓国訪問当時、水曜デモに参加して「戦争の被害者としてハルモニたちを応援する」と表明し、平和と連帯の心情を分かち合った。

 今回の判決で大韓民国は、戦争犯罪を否認する日本の轍を踏まないで、人権国家として改めて歩む機会を得た。両国の被害者たちの長い間の願いに一歩近づく機会を創った。

しかし最近韓国政府の所行は余りにも情けなく恥ずかしいレベルだ。「2015韓日慰安婦合意」尊重表明、加害者の謝罪と賠償が抜け落ちた強制動員解決策を押し付けている。加害者の呼応と恩恵を一方的に懇願して法的に保障された被害者の権利すら加害者に売り渡そうとしている。被害国の屈辱的な態度に、加害国の居直り強盗的態度も度を越えている。

日本政府はさる1月31日、国連加盟国の全般的な人権状況を検討する国別人権状況の定期検討、 UPR(Universal Periodic Review) 日本審議で強制動員と性奴隷制を否定し、「2015韓日合意」で慰安婦問題が最終的・不可逆的に解決されたと繰り返し主張した。

図々しくもアジア女性国民基金で、当時の犠牲者たちに謝罪金を渡したと強調さえした。こんな加害者の態度を容認するかのように韓国政府は、「第2次世界大戦中に日本が犯した性奴隷と強制動員問題に関して被害者中心原則に基づいた真実、正義、賠償の権利保障を求める」国連加盟国の勧告を受入れないで、単純な「参考」程度の認識を表明している。余りにも惨澹としている。

 ここに私たちは要求する。

 日本政府と韓国政府は真実と正義、賠償の原則に立って日本軍性奴隷制、強制動員、ベトナム戦争被害者たちの叫びに積極的に応えよ。被害者たちが提訴した判決結果を承服し、誠実に判決を履行せよ。戦争犯罪の真実を究明し、法的責任を認定して被害者たちに謝罪せよ。私たちはグェン ティ タン、金福童、梁錦徳(ヤン・クムドク)の勇気を胸に刻み、その切々とした願いを実現させるために最後まで連帯して行動する。

2023年2月8日

正義記憶連帯 理事長 李娜榮(イ・ナヨン)


声明書

変化をつくりだしたのは性暴力被害生存者たちの語りだった。

性暴力特別法制定、セクハラ法制化、#MeToo運動、不法撮影の公論化など男性本能や個人のミスとみなされてきた日常を強姦文化と命名し、性暴力の本質を被害者の過ちから加害者の犯罪に、性差別的社会構造の問題として認識させた。韓国社会に深く根付いた性暴力通念を打ち破り、変化を引き出したのは生存者と連帯者の力だ。

日本軍性奴隷制問題も生存者たちの語りで世に知らされた。

故金学順さんの語りはもうひとつの生存者たちの勇気となって被害者の口を塞いでいた韓国社会に亀裂を生み出した。 生存者は日本政府に謝罪と責任を要求しただけでなく、世界中の被害者と連帯し、国際社会に戦時性暴力を公論化してきた。水曜デモは戦争犯罪、ジェンダー犯罪を告発するダイナミックな運動現場であり、生存者と市民が参加して連帯する平和と民主主義の場となってきた。

このように「変化」をつくる過程で何が「変化」したのか? 

戦後50年余りを経て始まった語り、その後32年間の生存者の叫びと要求は世界を変化させてきた。しかし、責任が明らかになるほどに責任者は要求された7つの項目のうちのただのひとつも履行していない。

日本政府はいつまで「1965年日韓協定」、「2015年日韓合意」の後に隠れて真相究明と責任を回避するつもりか? 次の世代に歪曲された歴史を教えるのか? 平和協定を改正して本格的に軍事化して帝国主義を復活するというのか? 組織的性暴力と性搾取を通じて可能になった軍国主義を、戦時性暴力を否定しながら繰り返すというのか?

韓国政府の態度はもっと嘆かわしいものだ。

戦争で被害を受けた国民を保護するどころか被害者の名誉と尊厳を毀損する「強制動員賠償案」と朝鮮半島の平和を脅かす「韓米日安保協力強化」のような歩みをしている。韓国政府は外交的フレームを言い訳にして加害者のように思考して行動するというのか? 韓国政府は被害生存者の叫びを聞いていないのか?

しかし、変化しないほど変化への願望は明らかになり、変化に対する要求は激しくなる。水曜デモは1582回と続いている。日本軍性奴隷制問題解決を叫ぶ被害者、協力者、連帯者は今日この場をともにする。生存者の名誉と人権回復、脱軍事主義、戦時性暴力の公式謝罪と法的賠償、性平等平和に対する要求は変わらない。 私たちが願ってきた変化は実現していない。私たちがつくりだした変化もまた変わってはいない。

記憶を直視し、国家に拒否された人たちの声とともにするとき、正義が実現できることがわかる。日本政府と韓国政府が変化することを、変わらず要求する。

私たちは要求する!

一、 日本政府は戦時性暴力被害者に公式謝罪し、法的賠償せよ!

一、 日本政府は犯罪事実を認め、歴史歪曲を止めよ!

一、 韓国政府は被害者の観点から、生存者人権のために行動せよ!

一、 韓国政府は侮辱や嫌悪から被害者を守り、安全な水曜デモを保障せよ!

2023年2月8日

第1582回 日本軍性奴隷制問題解決のための定期水曜デモ参加者および韓国性暴力相談所一同